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「私もここで液晶モニターに向かって」

若い美容師は自分の話ばかりをする。
これは妻がよく言うことだ。
私は美容院ではなく、理髪店、
いわゆる床屋を利用しているので、
その感じがわからないのだけれど、想像はつく。

村上春樹がおしゃべりな床屋は嫌いだ、とか、
エッセイか何かに書いていたと思うが、
私も床屋での会話が苦手なので、
ましてそこで聞きもしない我の話ばかりされては
たまったものではないと思う。

先日、妻がネイルサロンに行くと、
ギャルっぽい若いネイリストが
妻の隣に来たややご年配の客に付いて、
やはり自分の話をだらだらとしゃべり始めたという。
自分語りはこういう職業に共通なのだろうか。

話の流れから、隣の客は旦那さんと
まだ小さな子どもと一緒に近くまできて、
自分がネイルをやってもらっている間は
どこかで時間をつぶしてもらう感じで
店先で別れたらしいことがわかった。

つまりギャルネイリストはようやく、
客のほうに話題を寄せたのだけれど、
そこで彼女が言ったというセリフを聞いて、
私は爆笑してしまった。

「旦那さんとお子様とでいらしてたんですかあ。
わたしね、子ども、嫌いなんですよねえ。
親戚の子とか、知っている子はいいんですけど、
他人の子がダメなんですよお」

ほぼ相手の存在は無視である。
彼女にとって目の前の女性はいないも同然だ。
じゃなきゃ、年配の女性がおそらくは
歳を重ねて授かった子どもの話をしかけたところに、
「わたし、他人の子ども嫌いなんです」
とは言えないと思う。

おそらくギャルネイリストは
爪と話していたのだと想像する。
ひたすらに爪を見つめ、毎日毎日、
たくさんの爪を塗り続けるうちに、
相手の存在を消して、
爪に語りかけるコツを会得したのだろう。

同様にして、自分の話ばかりをする美容師、
スタイリストとかいうんですか、知りませんが、
そういう人も髪と話しているのだろう。
あるいは髪のついた頭に向かって、
自分の思いを語っているのだと思う。

とかいってね。
私もここで液晶モニターに向かって、
糞自分のことばかりをだらだら語っているわけですが。

昨日の記事と連続シリーズものにしてみました。

iPodでUnderworld。家でMum、
Sonic Youth(Daydream Nation Deluxe Edition CD2)。

Mumは久しぶりなんだけれど、ずいぶん変わったなー。
なんか別のバンドになったような。
でも、これけっこう好きです。パッケージもいい。

Underworldの新作はさらに深く、
音のひとつひとつが選ばれ、磨かれている印象。
Underworldというブランドをコントロールして、
更新させた鮮やかな手際が知の職人的。
TOMATOという先入観のせいか、美しい音のデザインを思う。
でもそれは表面的な体裁を整えたような、
かっこつけのデザインでは決してなく、
本質を捉えたデザインだと思う。
だから、スタジアムにも対応するような、
万人に届く大きくて太い音なのに、
静かな熱とともに繊細でエレガントな余韻が残る。

なー、ゴマ。「私もここで液晶モニターに向かって」_d0075945_155552.jpg
by gomaist | 2007-10-05 02:02 | 日日


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